「政治参加で未来をまもろう」(首藤信彦)

若者たちよ、頑張れ!

「政治参加で未来をまもろう」
 (首藤信彦)岩波ジュニア新書

若者の政治離れがよく言われます。
まるで若い人が悪いように。
でも本書を読んで理解できました。
私が生まれる以前にすでに、
様々な規制や通達により、
学生・生徒が政治に首を突っ込むことが
できなくさせられていたのです。

確かに、
自分が中学生・高校生の時も、
そして現在も、社会の教科書には、
政治や国会の
制度やシステムについての
記述は豊富ですが、
若者が政治に参加する
「意義」や「価値」、
そしてそのための
「手段」や「方法」については
全く記されてはいないのです。
これで若者に
「政治にもっと関心を持て」
などと言っても始まりません。
本書はそうした
今まで気づかなかった問題に
気づかせてくれます。
若者にも大人にも
読んでほしい一冊です。

「第1章 政治って、何だろう?」
筆者は
自らの政治に対する姿勢を説明し、
政治は政治家だけが
行うものではなく、
市民が主体であることを
説いています。

「第2章 民主主義について」
「民主主義」とは
大衆による支配=デモクラシーであり、
日本社会にはそれが
根付いていないことを
指摘しています。

「第3章
現代社会に翻弄され浸食される若者」

日本の若者が社会的役割を失った
現状を嘆くとともに、
若者のエネルギーの
向かうべき方向を示唆しています。

「第4章
世界の若者は何をしているか」

フランスでの高校生のデモ、
アメリカで誕生した高校生市長、
韓国での高校生の活動等を紹介し、
世界の若者の
政治活動の状況を伝えています。

「第5章
求められる日本の若者の政治参加」

ここで、冒頭にあげた日本の若者が
政治から疎外されている
歴史と現状について
取り上げられています。

「第6章 どのように政治参加するか」
そして現状でできる
若者、特に高校生の
具体的活動方法について
述べられています。

本書に書かれてあることを
行うことが大切なのではなく、
自分たちの創意工夫と
積極的な行動によって、
自分たちの身のまわりの環境や
自分を取り巻く社会を
変えることができるのだと、
若い人が気づくことが
大切なのだと思います。
いきなり政治を変える行動に
つながらなくても、
地域や学校を変えることは
可能なのではないか。
子どもたちがそうした方向に
エネルギーを注ぐことができれば、
現代の閉塞感は
かなり打破できるのではないかと
思うのです。

残念ながら、私をはじめとする
現代のおじさんたちは
それができないまま、いや、
それに気づきもしないまま、
大人になり、
社会に組み込まれてしまいました。
未来を生きる子どもたちには、
何とか自分たちの手で
自分たちの住む地域、社会、
そして日本という国を変えていく
意識と力を持ってほしいと、
ただただ願うばかりです。
若者たちよ、頑張れ!

なお、著者の
首藤信彦(すとうのぶひこ)氏は、
本書執筆時には
民主党所属の衆議院議員。
現在も政治家として活動中で、
「首藤信彦と市民政治バンド」という
タイトルのサイトから
現在の状況を知ることができます。
私も注目しているところです。 

(2019.3.18)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA